ここ数年で急激によく名前を聞くようになった“発達障害”。
その一つに、自閉スペクトラム症(ASD)という障害があります。
私自身ASDの当事者で生きづらさを常に抱えています。自己紹介にもなると思い、今回はASDについて説明いたします。
今回の記事では、「Autism Spectrum Disorder = ASD」と呼ばれる自閉スペクトラム症について、どういった障害なのか、症状例とともに解説していきます。
自閉スペクトラム症(ASD)の診断基準
まず、自閉スペクトラム症と診断される人たちについて、
どういった診断基準が設けられているのかを見てみましょう。
診断基準には主に「DSM-5」「ICD-10」、これらのどちらかが使用されます。
比較的よく用いられる「DSM-5」の基準では、
以下のような症状例を自閉スペクトラム症(ASD)としているようです。
- ①複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
- ②行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚の偏りなど)
- ③発達早期から①②の症状が存在していること
- ④発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
- ⑤これらの障害が、知的障害や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと
この診断基準にプラスして、知的障害や言語障害はないかどうか、LD(学習障害)やADHD(注意欠如多動症)は併存していないかどうか、といった確認をすることが一般的です。
自閉スペクトラム症には、以前まで“アスペルガー症候群”と呼ばれていたものや、“高機能自閉症”と呼ばれていたものなどが含まれており、その症状の多様性から「スペクトラム」という言葉が使われています。
自閉スペクトラム症(ASD)の症状例
自閉スペクトラム症の症状例を、先に記した診断基準に倣って解説します。
その特徴は、大きく以下の二つに分けられるでしょう。
①コミュニケーションの障害について
・他者の気持ちを考えるのが難しく、人を傷つけてしまう
・視線が合いにくく、表情が乏しい
・言外のニュアンスや暗黙のルールを理解できない
・身振り手振り、目の動きなどの非言語コミュニケーションを察知できない
・どんな相手に対しても丁寧すぎる言葉遣いを行う
上記のような症状が、コミュニケーションの障害として挙げられます。
②興味の限定や感覚の偏りについて
・特定の物事に対して強い興味をもち、ずっとそれを繰り返している
・決められた手順にこだわり、変化を嫌う
・収集癖がある
・特定の刺激を避けようとする
・感覚刺激を求めてつま先歩きや飛び跳ねるなどの行動を示す
上記のような症状が、興味の限定や感覚の偏りとして挙げられます。
おわりに
今回は、自閉スペクトラム症(ASD)という障害について簡単に解説をしてきました。
その症状例は多岐にわたるため、今回紹介した以外にも当事者の各々に様々な困りごとがあるといえます。
発達障害をきっかけに二次障害(例えばうつ病など)を発症するケースも多くありますので、もし身近に自閉スペクトラム症を疑われる方がいらっしゃる場合は、早めに専門機関を受診するようにしてくださいね。