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ENJOY CHRISTMAS SOUND

クリスマスソングはいつの時代も気になるもの。
文化的な背景はさておき、冬のイベントとして楽しみたいクリスマス。大勢の友達と賑やかなパーティーをしたり、こぢんまりとしてるけれどゆっくりと楽しいひとときをすごしたり、ちょっとだけ贅沢な食事をしてみたり。そのどんな場面でも音楽が少しあるとより楽しくなると思いませんか?

もちろん、マライア・キャリーの「ALL I WANT FOR CHRISTMAS」も、山下達郎の「クリスマスイブ」も、WHAM!の「LAST CHRISTMAS」も大好きで毎年聴きますが、それはもう言わずもがな、ということで、今回はもう少しだけ踏み込んだ定番クリスマス音楽特集です。

まずは1954年発表のTHE DRIFTERS - WHITE CHRISTMASから。いわゆるDOO WOPスタイルの、シンプルで抑えの効いた、でもグルーヴのあるナイスカバー。パーティーの始まりにも、終盤のゆったりしたい時にもぴったりな心地よさは病みつきになります。この50年代~60年代初め頃のこういう感じのグループの曲は、少し歳を重ねてから聴いてみると若いときに聴いたよりも凄く良く聴けたりするので、「前に聴いたときはなんかピンとこなかったなぁ」と思ってもたまに聴き直してみたりするのも楽しいですよ。

VARIOUS ARTISTS - CHRISTMAS GIFT FOR YOU FROM PHIL SPECTOR [1963]

そして、大本命、子供から大人まで楽しめるクリスマスアルバムの決定版、VARIOUS ARTISTS - CHRISTMAS GIFT FOR YOU FROM PHIL SPECTOR [1963]
1960年代にWALL OF SOUNDといわれ、ポップス黄金期に活躍したプロデューサー、PHIL SPECTORによるクリスマスアルバム。自分のお抱えミュージシャン、オーケストラを総動員して録音された彼のレコードはどれも本当に素晴らしいので、このアルバムが気に入ったら是非他にもいろいろ聴いて欲しい。もし大滝詠一や山下達郎あたりの音楽が好きであれば絶対にいろいろ聴き漁っても損はないですから。
このクリスマスアルバムは、全く妥協が感じられず、気の利いたアレンジが楽しくポップなのに、それが素晴らしすぎて、むしろ狂気を感じてしまうくらいに完璧。殆どがカバー曲で、定番「WHITE CHRISTMAS」カバーのアレンジですら格好良いのだけれど、唯一のオリジナル曲であるDARLENE LOVE - CHRISTMAS (BABY, PLEASE COME HOME)がまた素晴らしい出来。どことなく切なくも、湿っぽすぎず、適度にビートがあって最高です。この曲はいろいろな人にもカバーされてるので、聴いたことがあるかもしれません。できれば、スピーカーで音を浴びて欲しいアルバムです。

THE BEACH BOYS - CHRISTMAS ALBUM [1964]

夏のイメージのTHE BEACH BOYSですが、このクリスマスアルバムは丁度良い力の抜け具合で、軽やかに楽しめるアルバムになっています。しかもA面の1~5曲目まではBRIAN WILSONによるオリジナル曲がずらっと並びます。特に「LITTLE SAINT NICK」は聴きながら一緒に口ずさみたくなるようなポップな曲なのに、軽く跳ねるリズムに、やり過ぎないコーラスワークが冴え、細かなアレンジがとても洒落ていてたまらないのです。ちなみにこの曲、アルバムとシングルでアレンジが違う!しかもどちらも素晴らしくて、その辺も憎たらしい。なんとなく漂ってきてしまうビーチ感もここでは全く違和感なし。

あと、BEACH BOYSに関しては、「GOD ONLY KNOWS」をクリスマスに聴きたくなります。これはおそらく、映画『LOVE ACTUALLY』で使われていたから、そうすり込まれているのかも知れませんが、確かにクリスマスにもしっくりきます。この曲が収録されている「PET SOUNDS」というアルバムは先のPHIL SPECTORが使っていたミュージシャン達を使って録音されたものなので、これもあわせて聴いてみると、世界が広がって繋がっていくのが楽しめると思います。このアルバムのメイキングのような映画『LOVE & MERCY』もオススメしておきます。

60年代は良いクリスマスアルバムが多いです。
そんななかでもう一枚、STEVIE WONDER - SOMEDAY AT CHRISTMAS [1967]からは、CMで耳にした方も多いと思う「SOMEDAY AT CHRISTMAS」です。すごくシンプルなサウンドながら、STEVIE WONDERが切なく歌い上げる名曲。そして、もう一曲は、MOTOWN、STEVIE WONDERっぽさ全開に、軽快なグルーヴが心地よい「WHAT CHRISTMAS MEANS TO ME」。シンプルだけど気の利いたアレンジに心がウキウキしてしまう。ハーモニカもらしくて最高です。

1970年代は、やはり時代の空気が色濃く反映され、地に足をつけたような曲が多いです。1970年発表のDONNY HATHAWAY - THIS CHRISTMASは、この時代の幕開けのような感じもある曲。ソウルフルで切なく、誠実な感じのソウルクリスマスミュージック。この丁度良いビターな感じが好きです。やはり黒人文化が少しずつメインストリームにでてくる時代です。

その流れでブラックミュージックでは、FUNKY CHRISTMASというクリスマスアルバムから、LUTHER VANDROSS - MAY CHRISTMAS BRING YOU HAPPINESS [1976]。クリスマスソングとしても素晴らしいですが、もう普通に素晴らしいソウルミュージックです。しっかり踊れてしまうし、胸が締め付けられるようなメロディとストリングスにやられてしまいます。

そして、言わずと知れた、JOHN & YOKO & THE PLASTIC ONO BAND - HAPPY XMAS (WAR IS OVER) [1971]は今の時代にも大切にしたい曲。THE BEATLESはファンクラブ用にクリスマスソングをつくっていたりするのですが、BEATLES絡みで一番好きなのは、PAUL MCCARTNEY - WONDERFUL CHRISTMAS TIME [1979]です。MOOG(シンセサイザーの一種)を使って、とびきりポップで少しだけアヴァンギャルドなサウンドにメロメロです。変な事をやっているのにポップに成立しているというのが本当に素晴らしい。

60年代から活動を続けているUKのバンドによるクリスマスソング、THE KINKS - FATHER CHRISTMAS [1977]は、もう楽しいロック全開で次の時代への布石かと思うほど。ちょっとハメをはずしてはしゃぎたい気分の時にバッチリです。このバンド、本当に素晴らしい音楽性をもっていると思うのですが、なかなかとっつきにくいところもあり、一度や二度聴いて、よくわからなくても時間をおいてまた聴いてみて、というのを繰り返してみて欲しいです。それでもダメかもしれないですが、その経験がきっといろいろなところに広がりを作ってくれると思います。

70年代を締めくくるのは、KURTIS BLOW「CHRISTMAS RAP PIN」[1979]です。ついにヒップホップがでてきました。この曲は、まぁ、もう完璧にKURTIS BLOWそのもの。かれのいつもの曲にクリスマスの効果音を入ました、というくらいに彼のサウンドになっていて、そこが面白い。

VARIOUS ARTISTS - GHOSTS OF CHRISTMAS PAST [1981] & GHOSTS OF CHRISTMAS PAST(REMAKE) [1982]

この2枚のアルバムは、少し風変わりでアヴァンギャルドなポップスを世に送り出していたことでカルト的に支持されていたLES DISQUES DU CRÉPUSCULEというレーベルから出ていたもの。それぞれ収録曲がかぶっていたり、違っていたりでついついどちらも買ってしまうのです。アップテンポなギターインストで一気にクリスマス気分を高めてくれるAZTEC CAMERA「HOT CLUB OF CHRIST」、しっとりと叙情的なDURUTTI COLUMN「ONE CHRISTMAS FOR YOUR THOUGHTS」、クリスマス定番曲をニューウェーブ×ジャズなアレンジでカバーしたTHE FRENCH IMPRESSIONISTSによる「SANTA BABY」、アコースティックギターで弾き語るTHE PALE FOUNTAINS「BENOIT'S CHRISTMAS」などなど。ポップだけれどアヴァンギャルドなスパイスが効いた曲が満載です。発売された時代がパンク~ポストパンク~ニューウェーブへと移行していた時期だけに、実験的な内容のものも多く、ただのノベルティとして聴くのはもったいないくらいの内容です。

70年代から活動するバンドNRBQのクリスマスEP、NRBQ - CHRISTMAS WISH [1986]。ゆる~いトイポップならぬトイロックな音が心地よい。まぁ、このジャケットをみてもらった通りの音をやっているので、ピンときたら是非聴いてみてください。

THE POGUES - IF I SHOULD FALL GRACE WITH GOD [1988]

アイリッシュパンク/フォークバンド、THE POGUESのクリスマス定番曲「FAIRTALE OF NEW YORK」収録。このカバー写真を見てもらえばなんとなく彼らの音が想像できるかと思いますが、この曲は切なくも心温まる民謡的な感じでしっとりと聴けます。そして夜が更けていく。

DARLENE LOVE - ALL ALONE ON CHRISTMAS [1992]

2番目に紹介したPHIL SPECTORのクリスマスアルバムで一番目立っていた彼のお気に入りシンガー、DARLENE LOVEによる復活作。これはクリスマス映画の定番『ホームアローン2』の主題歌になっているのです。90年代なのに、60年代の香りたっぷりで最高なのです。これは子供と一緒に楽しめるクリスマスソングとしてイチオシです!
単にクリスマスソングといっても、いろいろ面白いものがありますよね。こういうシーズンものを通して新しい音楽に触れて、自分を刺激してみるというのも楽しい遊びのひとつだと思います。まずはパーティーを楽しみながら音楽も思う存分に楽しんでみてくださいね。
MERRY CHRISTMAS!

文・写真/平野暢達

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