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VELVET UNDERGROUND, ANDY WARHOL AND NICO

音楽は、その人がどんな音楽を聴いているかは、外見には表れない。いや、正確には、その人がどんな音楽が好きなのか、なんとなく感じる事ができる場合もあるけれど、最近ではそういう人は少なくなってきていると感じています。

音楽もファッションも細分化し、以前のようなファッションと音楽の密接な関係は薄れてきているのは確か。でもデザイナーが音楽からインスピレーションを得たりすることは今でも多いし、特にショーでの音楽にこだわるメゾンは多いし、僕自信イラストを描いたり、グラフィックやイメージを考える際には音楽からインスピレーションをもらう事が多い。だから僕は、音楽はやっぱりファッションの近くにいて欲しい。そしてファッション好きな人にはいろいろ聴いてみていろいろ感じて欲しいと思う。こうやってファッションに関わらせて頂いているので、その中で何かを感じてもらえるような音を少しずつ紹介させて頂こうと思います。

興味を持っていただいたら、是非ググって聴いてみて下さい。本当はオーディオのスピーカーを通して、その時代のフォーマット(レコード、CD、あるいはMP3?)で、ある程度の音量で「体感」してもらえたら最高だとは思いますが。

まず初回は60年代の音を。ロックに芸術性を持ち込んだとされるTHE VELVET UNDERGROUNDを聴いてみましょう。

VELVET UNDERGROUND & NICO 1966

THE VELVET UNDERGROUND、そう、あのANDY WARHOLがプロデュースしたニューヨークのバンド。彼は、1950年代には『VOGUE』や『Harper's BAZAAR』、JAZZの名門レーベル『BLUE NOTE』などにイラストレーションを描いていて、1960年代にはポップアートの旗手として活躍する。丁度その頃にお気に入りだったモデル/女優のNICOを参加させ、プロデュースしたのがこの1966年発売のデビューアルバム、THE VELVET UNDERGROUND & NICOです。

バンドとしては、かなり前衛的なロックをやっています。ただ、そのなかに甘酸っぱいメロディをもったポップな曲がちりばめられていて、それがとても美しかったり優しかったりするので、ついついそうした曲を繰り返し聴いてしまうのです。

このアルバムでは、とにかくタイトルと曲調がぴったりで日曜日に聴きたくなる「Sunday Morning」を推したい。甘酸っぱい中にもサイケデリックな浮遊感があって、とっつきやすいのに飽きない素晴らしい曲。もう少し王道のロックっぽい感じだと「I'm Waiting For The Man」も聴いてみて欲しい。90年代にはVANESSA PARADISがLENNY KRAVITZのアレンジでカバーしていて、そちらと聴き比べてみるのも面白い。もう1曲、聴いて欲しいのが「I'll Be Your Mirror」。これも一見聴きやすい曲だけれど、聴けば聴くほど狂気と優しさを感じられる曲だ。

VELVET UNDERGROUND 1969

3枚目のアルバム『THE VELVET UNDERGROUND』は、全体を通して聴けるアルバムだと思う。その中でも「Candy Says」、「Pale Blue Eyes」、「After Hours」はオススメの曲。このモノクロのジャケットの雰囲気に、時々ふっと色が差し込むような印象の曲が並ぶ。「Pale Blue Eyes」は最初少し取っつきにくいと感じるかも知れないけれど、少しだけガマンして何回か聴いていると、いつの間にかどっぷりとはまる時が来るはず。

LOADED 1970

そして、4枚目のアルバム、LOADEDからはとにかく、「Who Loves The Sun」を。一番キャッチーで爽やか、でもどこか陰りがあるという最高のバランスの曲。天気が良い日に聴いたら、どこかに出かけたくなってしまう。

まずは曲単位で聴いてみて、機会があればアルバムを曲順通りに頭から通して聴いてみてください。自分では積極的に聴かない音楽を、少し無理して聴いてみる。一回目ダメでも、もう一回。しばらくして思い出したようにもう一回。そうすると、ある時、今までわからなかった「良さ」がわかる瞬間がくることがあります。

不思議なことですが、時間の経過、自分の成長、聴いたときの状態などで音楽はまったく違って聞こえることがあるのです。これは洋服にもあてはまることがあるのではないでしょうか?自分の変化とともに、着たい服、似合う服が変わっていくように。

文・写真/平野暢達

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